名探偵コナン 純黒の悪夢★★★ミステリ消失
『名探偵コナン』と題される本作のジャンルはミステリのはずだが、昨年度の失敗の為かミステリ要素が極限まで排除されアクション映画と化している。
【目次】
- ミステリを廃した『劇場版名探偵コナン』
- ネタ感想
1.ミステリを排した『劇場版名探偵コナン』
『劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢』の前作にあたる『業火のひまわり』はシリーズ史上最高の興行成績を収め、国内映画興行収入年間ランキング9位に着いた*1*2。しかしながら、その商業的成功の反面、映画自体は構成が破綻していた。Wikipediaには「1時間分の展開を丸々カットした」と記されている*3。 本格ミステリを志した結果、脚本のボリュームが2時間の枠を大幅に超過してしまい、商業的理由でストーリーを削られ、結果、構成に欠陥が生じてしまった…… 『業火のひまわり』はこのような失敗が感じられる出来であった。では、今年度の『純黒の悪夢』はどうなのか? 結論を言おう。『劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢』は「映画全体をスマートにまとめること」に成功している。そう、『劇場版名探偵コナン』は、前作で陥ったミステリ要素を詰めすぎて生じた「まとまりの悪さ」を克服したのだ。ミステリ要素を丸々排除することによって……。
『劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢』はいかにミステリ要素が“無い”のか? そもそも「犯人」という概念が存在しない。だが『名探偵コナン』のミステリは「犯人を探しだすこと」だけではない。黒の組織の謎を追うことも又『名探偵コナン』である。しかしながら、今回の「黒の組織を追う闘い」は警視庁も公安も小学生の前で捜査状況をベラベラ喋り、FBIに至っては小学生に機密情報をペラペラ教えるので攻略イージーモードぬるゲーである。この捜査状況筒抜けっぷりの警察およびFBI逆ステマ状態はいつものことだが、本作は度が過ぎており、まさにカルト的狂気を形成している。前作を鑑賞した際、名探偵であるはずのコナンがあまりに推理をしないので「コナンの劣化」と題するブログを書いた。ただ、そのような辛辣な評を下した自分でも思いもよらなかったのである。題名であるはずの「名探偵」という概念が丸々消失する展開を……。
(蘭姉ちゃんの代わりにアクションを担当する2人だが、彼らを超える“蘭姉ちゃん級”は他に存在した)
ミステリ要素を排された『劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢』でメインとなるのはアクション要素である。ただ、本シリーズのアクション需要は高いと思われるし、構成クオリティは前作をゆうに超えており、アクション要素を強く求めるファンなら十分楽しめる出来と言える。ちなみにミステリ要素が無くなったあとにも残った『劇場版名探偵コナン』お馴染み要素は以下3つ。
- 博士のなぞなぞ
- 素人小学生声優
- 蘭姉ちゃんがヒロインであることの強調
1は既に惰性が感じられたし、「ミステリ要素より残すべき伝統だったのか?」という疑問を感じる。
2.ネタ感想
【※以下ネタバレ箇条書き】
- 開始から『バットマンvsスーパーマン』ばりのカーチェイス(民間人被害もスーパーマン級)
- 阿笠博士が痴呆症に
- Nissenの香里奈のような服装のベルモット
- 元太の大事故
- 大事故かつ人外アクションを見せられたのに「無事で良かったです〜」で済ませる遊園地従業員(狂気)
- 元太と天海祐希の恋愛フラグ
- ベルモットにドン引きされるジンさん
- 赤井に不意をつかれて獲物を逃がしたジンさん、ベルモットに「まさか全てあなたの計算通り……?」と良い方に誤解されるが訂正せず
- 突然始まる赤井と安室のBL展開
- 『エヴァンゲリオン』のゼーレみたいな黒の組織の部屋
- 『X-MEN』のジェニファー・ローレンスくらいなら倒せそうな天海祐希の戦闘力(蘭姉ちゃんのいいライバルになれそう)
- 遂に灰原さんまでもが超人級のワープ能力を発揮
- ラストのアクション規模が凄すぎてガチで『バットマンvsスーパーマン』級へ
- スーパーマンと戦える戦闘力を発揮するコナン
- コナンのサスペンダーによって巨大観覧車の転倒回転が止まる宇宙展開を前に「やるな……少年……」とシタリ顔の安室(狂気)
- まとめると「元太との恋によって正義を取り戻した天海祐希」という物語
(Nissenの香里奈のようなコーディネートも着こなすオスカー女優ベルモットさん)
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