2013-01-01から1年間の記事一覧

『もらとりあむタマ子』彼女が無職なワケ

映画『ロスト・イン・トランスレーション』は「尻」から始まる。背中とパンツだけで「孤独」を表した名タイトルバックだ。本作もまた、主人公の初登場シーンは「尻」。都内高級ホテルの整ったベッドに居たスカーレット・ヨハンソンと異なり、前田敦子が寝そ…

『そして父になる』アダルト・チルドレン脱出の成功譚

「父の呪縛に囚われていた主人公がアダルト・チルドレンを脱却し孤独じゃなくなる話」である。又、それに伴う「家族の再生」が描かれている。同 じくカンヌで賞を授かった『ツリーオブライフ』『トウキョウソナタ』に似ている。文学的に言うと「父殺し」の物…

『ヒックとドラゴン』とブルーオーシャン戦略

「竜の狩猟」がアイデンティティとなっているバイキング集落に住む気弱な少年ヒックは、自ら発明した武器で伝説のドラゴンを撃つ。偉大なバイキングである父に「弱い男」烙印を押される彼は、仕留めたドラゴンを手当し、なんと仲良くなってしまう…。 伝説の…

シャーリーズ・セロンは何故『モンスター』を演じたのか?

美人女優シャーリーズ・セロンは、何故あそこまでの身体改造を行い連続殺人犯を演じたのか?それは彼女が『モンスター』の主人公に共感したからではないだろうか。セロンはアイリーン役についてこう語る。 映 画『モンスター』のアイリーンとラヴェンナは、…

貧困が生んだシリアル・キラー 映画『モンスター』に見る文化資本

「ジャンク・フードより自炊の方が結果的に安くつく」 「お金が無くても新聞売りや奨学金を用いれば進学が出来る」 …なのに、貧困層の人々は何故そのような「選択」をしないのか?それはその人間が、怠惰だからだ。… このような声はよく挙がるが、そもそもそ…

『サラの鍵』過去を知らなければ、未来は作れない。

『最強のふたり』はフランス映画らしく、実話・障碍・格差を扱いながらも「感動しろ」という演出を最後まで行わなかった。本作はそんな映画だ。 『ザ・マスター』はある種戦争の映画であった。「戦争」は終戦調印しただけでは終わらない。世界大戦に勝っても…

『ザ・マスター』ミイラ取りがミイラに、信者が教祖に

「観終わったあと、ただ楽しかった、笑えた、泣けたなどと一言で終わらせられる映画は劇場で見る価値が無い」この言葉を是とするのならば、この上なく高尚な作品。 新興宗教サイエントロジーがモデルの本作。その開祖のロナルド・ハバードにあたるのは、フィ…