神KUSOスターアワード2017 - 辰巳JUNKエリア

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神KUSO－－Goddes Shit－－それはマスメディアの年末振り返り記事でもクソのよつなネタとして掲載外に処されるセレブたちの咆哮。神KUSOスターアワードとは、そのようなクソ扱いを受けるものにこそスターたちの人間味が宿ると考え、その神秘性を真面目に讃える授与式である。政治の大変動によって多くの著名人が叫びをあげた2017年。本邦も神KUSOアワードでありながら社会問題に関連した授賞が相次いだ。そんな17年のエンパワ賞、フェイム賞、カップル賞とは－－

【エンパワ賞】マライアキャリーのパネルが作られる

ついにパネルが作られてしまった pic.twitter.com/rdGpxxi53O
— キラー・トーア (@excursionz) 2017年7月31日

　マライア・キャリーに体重激増疑惑が向けられ、なぜか日本でも大ウケ。日本のTVでマライアの等身大パネルまで製作された事件。

　マライアのほかにリアーナも体型変化が騒がれた2017年。そのような騒ぎを問題視する議論も活発化した。そんななか、体重が増えたと騒がれた２人は体型をかつての細身に一向に戻さず、そのうちに新体型に大衆が慣れたことで何も言われなくなる現象を巻き起こした。「女性の体型変化を過剰にネガティブ視する向き」は今まで様々な問題提議がなされてきたがーーセレブリティに関しては「大衆に慣れさせ黙らせるDIVA方式」が最適解なのかもしれない……。マライアやリアーナほどのスターが「女性セレブリティ基準の細身体型」へ執着しない姿には、一般社会への影響力もあるはず。DIVAエンパワーメントである。

【フェイム賞】すっぴんのマドンナが宅配便を受け取れない

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　ポルトガルに移住したマドンナが怒りの懇願ポスト！

この一週間、ずっと宅配のカスタマーセンターと格闘しているわ……。

私がマドンナだと訴えても宅配便を渡してくれない……。

　どうやら、何度言っても宅配センターが彼女があのマドンナだとは認めてくれない模様……。推測されるまともな理由はあるが、怒りの投稿写真がスッピン風だったため『マドンナのすっぴん、本人か判別不能で宅配便を渡してもらえず』と報じられた。

　日本語には「有名税」という言葉があるがーー俗語的には「有名人なんだからそれぐらいの不利益は我慢しろ」といった抑圧的な意味で用いられている。しかしながら、本当にすっぴんのマドンナが「普通の人っぽいから大スターなはずがない」と判断され宅急便譲渡を断られていた場合、本当の文字通りの「有名税」となる。2017年の税金問題といえば、11月に流出した超富裕層の脱税リーク『パラダイス文書』。エリザベス女王の名もあり非常に話題を呼んだこのリスト。実はこの脱税犯リストにはマドンナも載っていた。しかし、元々積み上げたイメージが「貪欲ビッチ」だった為、大衆にまったく驚かれず評判はほぼ無傷で終わった。これもまた「有名税」の活かし方である。

【SNS賞】謝らないデミロヴァート

　デミ・ロヴァートが自分を罵るツイートをうつしだし「あたしゃ謝らないよ！！」とシャウトする舞台を披露。拍手で迎えられるなか真顔で歌いだす神KUSOパフォーマンスが称賛を呼んだ。「あたしゃ謝らないよ！！」と宣言するデミの新曲『Sorry Not Sorry』は、HOT100にてキャリアピーク順位を記録。否定される機会も多いSNS社会において、バッシングでも揺るがないデミの姿勢が支持された時代的アンセムだ。そもそもデミ・ロヴァートは、テイラー・スウィフトの寄付に難癖をつけた疑惑後も糾弾をつづけ、最終的に謝罪拒否宣言を出した「本当に謝らない歴史」を持つ女。「あたしゃ謝らないよ！！」と叫ぶアンセムは、時代性を孕む一方、歳月に培われたデミの人物像を基盤とする楽曲なのだ。テイラーの寄附への苦言は「流石にデミが悪い」判定が多かったが、その失態が楽曲パワーになる逆転ホームランである。毎日戦争状態のSNSって、デミのような真っ直ぐすぎる正義感がないと生き残れないのでは？（錯覚）

　ちなみに、彼女は17年末も「性暴力サバイバーを讃えながらトランプ大統領も誌面に載せたTIME誌」に怒りの声明を発表。もはや、議論の内容を吟味せずとも「『あたしゃ謝らないよ！！』の姿勢を一貫している」、この評価によって神KUSO的には全てが許されてしまう。おそるべきデミ特権が誕生した。

【時事賞】リアーナとアジーリア・バンクスの激闘

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　リアーナとアジーリア・バンクスがアメリカの政策で激突！　ことの始まりは、ドナルド・トランプ大統領の入国制限政策。まず、リアーナが「なんてモラルのない豚なのか」とパワーワードをツイート。これを受け、政権支持者のアジーリアが「お前はアメリカ人でもないし選挙権も持ってないだろ」と糾弾*1。このアジーリア、元々人種差別発言などでキャリアを下降させていたラッパーなのだが、この頃は「黒魔術の為にニワトリを処刑した血まみれ惨殺部屋」を公表し“触れてはいけない人”扱いとなっていた。そんなニワトリ殺戮者に凄まれてもリアーナは引かず「ナゲットを解放しな」と応戦。事態は誰も介入できない混戦を極めていった……。

　政策問題で始まったはずの議論がナゲット救済論に向かうなか、リアーナが「あ〜恐ろしい」と言いつつ、アジーリアからのメールを投稿。アジーリアの電話番号がそのまま掲載されていた為「電話番号晒し」攻撃と報じられ、アジーリアも相手の番号を晒し返す猛攻に発展した。しかし、リアーナがアップしたメールの内容をよくよく見てみると……

アジーリア「アタシはアンタに何もする必要はないよ。

既にビヨンセがアンタを潰そうと動いてるからね……。

ドラッグとSEX中毒をやめようとしたことはある？　そして、何故あんたがそうなってるのか考えたことはあるかしら？　お嬢さん（笑）

健闘を祈るわ」

　アジーリア・バンクスは、ビヨンセ陰謀論を唱えていたのだ……。この、そこらへんのオタクと同レベルの陰謀論こそリアーナが見せたかったものな気がするが、そこらへんのオタクと同レベルの陰謀論なため話題にならず「電話番号晒し」だけが拡散されていった……。そこらへんのオタクと同レベルな陰謀論をよほど気に入ったのか、リアーナはいっときこの文章をアイコンにまでしていた。

　2017年のアメリカ政治を表すようだった、「民主党支持の移民」対「トランプ支持のアメリカ出身者」ビーフ。デリケートで時事的だったものの、２人とも残虐すぎたため「ヤバすぎるセレブバトル」と引き気味に反応されたことで平和的に終幕したのであった。ちなみに、このとき無職疑惑がささやかれていたアジーリア・バンクス。リアーナにかまってもらえて相当嬉しかったのか、後日リアーナの新曲をBGMにマクドナルドのナゲットをうつした動画を投稿。「リアーナにナゲットを作ってあげた♪」と語るご機嫌ようだった。その後、有名セクシー下着ブランドVictoria's Secretの店員にバイト面接を申し出る就活実況動画を投稿し、社会復帰の片鱗を見せた。

【カップル賞】アンバーローズと21savage

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　「悪魔とサキュバスの地獄界カップル」……そんなヴィジュアルを誇る21Savageとアンバー・ローズ。アンバーはカニエ・ウェスト、ウィズ・カリファと交際歴があるため、２人の交際報道が出たときは「またアンバーがラッパーと付き合ったのか」の一言で終わらせられていた。21の新作リリースと交際発表が近かったこともあり、ヤラセ交際疑惑も飛び交った２人。しかし……

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　21savageが、アンバーと共にスラット・ウォーク運動に参加！

　スラット・ウォークとは、直訳で「尻軽女の行進」。カナダの警官がレイプ対策として「女性はスラットのような格好をすることを避けるべきだ」と発言したことへの抗議から始まっている。一方で「女性侮辱的な卑語を標している」等々、フェミニスト界で賛否を呼んでもいるらしい。その為、セレブリティが参加する類の運動としては「異色の女性権利運動」と紹介されることも。上記写真では、21savageは「俺もアバズレだ！」と訴えるプラカードを掲げている。

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　「ハードなフェミニズム運動の中『なんでここにいるんだろう』みたいな虚無の顔をしている」ともネタにされた21Savage。しかし……まだまだ「男らしさ」主義が残るラップ界の新星でありながら、恋人が信じる、セレブリティ参加も少ない挑発的フェミニズム運動に参加……。21さんはめちゃめちゃいい彼氏なのでは？　前年のテイラー・スウィフト偽装交際旋風への反動かのように、2017年はグウェン・ステファニー＆ブレイク・シェルトン、G-Eazy＆ホールジーといった誰得カップルが噴出。そんななか、ネタ性も保ちながらあたたかい心で応援したいカップル・21とアンバー。これからもお幸せでいてほしい。

【WORST】エドシーラン「テイラー軍団とは簡単にヤれた」発言

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(まじめ系と見せかけ実は内部で性が乱れに乱れているオタサーのような関係性)

　テイラー・スウィフトの大親友ことエド・シーラン。アメリカのマイノリティ界では性差別者と嫌われる一方、イギリスの両親から『子供の教育に良い男性セレブ１位』に選ばれた人気歌手である。そのシーランが「テイラーのセレブ友達たちとは簡単にヤれた」と明かした。

「それは“すごく簡単”だったよ……」

「僕が同伴したテイラーのツアーには、彼女の有名なセレブ友達がたくさんいた……。そして、次の朝起きたら隣にその友達が寝ててビックリ。こういう体験が度々あったんだ……」

　言及された時期と既存写真報道から、シーランが簡単にSEXできたテイラーの友人の一人はセレーナ・ゴメスと推測されている。「あいつの友達は簡単にヤれる女ばかり」なんて侮辱的な発言をしておいて親友芸をつづけてるの、すごい価値観ですね。ワーストです。

　しかしながら、シーランの発言の信頼性のほどは疑問が残る。彼は「英国王女に剣で顔を切られた話」を吹聴し話題となったが、当時同じ場にいた先輩ジェイムス・ブラントに「アルバムを売る為のでっちあげ。彼を非難する」と厳しく糾弾されている。注目のためなら王女すら侮蔑する嘘をつくとか際限なさそうですね。同じくアルバム宣伝期に「アデルの倒し方、知ってますよ。」的イキり発言もしたが、世界最大の音楽市場・アメリカ合衆国の初週売上はシーラン45万枚、アデル388万枚である。

さて、2017年神KUSOスターアワードも終盤……。

大トリとなる【天才賞】の紹介で別れを告げたい。

【天才賞】ケイティ・ペリー

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？

　「ワタシ革命」というか「ワタシ覚醒」な新作『Witness』を発表し、圧倒的なクリエイティビティを見せつけたケイティ・ペリー。上記の『SNL』パフォーマンスでは誰も見たことがない光景を生み出し話題を博した。ペリーの表現はこれに留まらず、バスケ試合中に宇宙にワープする映像や、100%ポップなカニバリズム性癖MVを立て続けにリリース。シングル成績は下降してしまったにも関わらず、諸MVはスピーディーに1万再生を達成、冒頭の『SNL』も6年ぶりの最高視聴者数をマークした。まさにアルバム・タイトル通り2017年に人々を「目撃者」にさせた異次元パフォーマーとなった。

　「目的あるポップ」を宣言したのに政治要素は1stシングルしか無かったーーそんな批評家筋からの落胆も伝えられた。しかし、2ndシングル『Bon Appétit』は、ペリーによると「性解放運動」。権力者に己の人体を食われそうになった女性が権力者たちを倒し彼らを食い返すカニバリズム譚である。画面が明るい100%大衆迎合ポップな為ある意味『ハンニバル』より恐ろしいが、本作は人食という特殊性癖をモチーフにした反抑圧の性解放運動なのである。つまり、本人の宣言どおり「目的あるポップ」そのもの。真面目な政治作品として評価されるには100年くらい早かっただけで、ペリティさんが信念を投げたわけではない。「100年くらい早かっただけで宣言通りの政治的大衆ポップ」、この点にポップ作家ケイティ・ペリーの天才性が凝縮されている。社会が激動した2017年。そのなかで己の信念を護り、作家性に従ってまだ見ぬ世界を描ききったペリー。彼女こそが天才賞に相応しいのである。……これほどまでに力説しようと、天才が創造した未知の作品ゆえに「言葉はいらない」状態なため、じかに作品を観てもらい「目撃者」になっていただいた方がはやい。