'15上に聴いたジャズ、クラシック、モダンクラシカル (Brasstracks/AVISHAI COHEN TRIO/FRANÇOIS-XAVIER ROTH/Nils Frahm/Michael Price)
掴みとして人気曲のBrassリミックス。SoundCloudのFlow-Fi界隈にて活躍する、フューチャーベース+Brassな2人組BrasstracksによるRihanna and Kanye West and Paul MacCartney『Four Five Seconds』Brass ver.。インストゥルメンタル版はこちら。
【JAZZ】AVISHAI COHEN TRIO『From Darkness』
イスラエルのベーシストによるベース、ドラム、ピアノ三重奏。まず超絶技法です。「Abie」は5拍子と思わせて5と2/3拍子。ラテン・パートがまた凄い。詳しくは下記に掲載させていただいたブログをどうぞ。ラテンイズムで超難度リズムが爆発している②の他にも、クラシカルなイスラエル・ジャズ・バラードの③、テクニカル・フュージョンな⑥、そしてクラシック映画音楽の⑪。これだけ多くの要素がありながら、全体的には簡潔にまとまった印象すら受けます。実験的な挑戦を試みながら、実験作に聴こえない一枚。
おすすめ記事→Avishai Cohen Trio "From Darkness"(Razdaz Recordz) - McLean Chanceの「Love Cry」
【Classic】FRANÇOIS-XAVIER ROTH,Les Siecles Orchestra『France-Espagne』
ストラヴィンスキー『春の祭典』を初めて現代楽器演奏で録音したグサヴィエ・ロト。弦楽器でガット弦を使ったり、ノン・ヴィヴラートに寄ったりと挑戦的な指揮者です。2003年に創設された楽団「ラ・シエクル」とリブートした『春の祭典』はレコード・アカデミー大賞を獲得。そんなロト&シエクルがシャブリエ『スペイン』に挑戦したのが本作『France-Espagne』。シャブリエの他にはマスネ、ドビュッシー、ラヴェル。もう素晴らしい。ロトの純フランス的な、繊細さ、豊穣さで『スペイン』演った時点で「勝ってる…!」と思わせる幕開け。狂想曲『スペイン』はマーラーに「近代音楽の始まり」と評されたポピュラー名曲です。それを、古楽演奏を「時の旅」と表し、いやが応でも現代的な要素を聞き取らせる鬼才・ロトが選択した時点で成功は約束されていたのかもしれません。TheGuardianでも五つ星評価。今年のベスト候補です。
【Modern Classical】Nils Frahm『Solo』
チャイコフスキー最後の門下生に師事されたドイツのピアニスト。モダン・クラシックと言っても情緒的な作風なので、アビエントやエレクトロが好きな人なら聴き易いはず。指を負傷したら残り9本でピアノ弾いてアルバム作ったりなんかして面白い人です。今回の新譜は、4.5mに及ぶ世界最大のピアノを完成させる為に、その世界最大のピアノで演奏したそうです。ピアノの鍵盤が88個であることになぞらえ、ニルス自身が制定した「元旦から88日目のピアノの日」にリリース。特設サイト「Piano Day」で無料DLも可能。『Solo』ということで今回はピアノと一対一な作品。『Wall』はまるで音の防波堤です。少しColdplay『Politik』に近いかもしれない。ここまで情緒的な音楽ってPlasticTreeくらいしか知らないんですが、たった88の鍵盤でよくここまで表現できるな、と驚きます。
Michael Price『Price:Entanglement』
〆の動画はMichael Price『Price: Entanglement』ティザー。BBC版『SHERLOCK』で音楽を担当している大御所作曲家で、エミー賞も獲得しています。今回はエレクトロな室内楽。⑤The Attachmentがとにかく美しい!ボーカルが入った2曲は日本の詩を引用しているとか。『SHERLOCK』の音楽が好きな人は是非ご視聴あれ。