2018年メディア執筆記事

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2018年、メディア媒体に掲載していただいた記事集となります。

ご依頼等、なにかご連絡がありましたら下記メールアドレスにお願い致します。

tatsumijunk@gmail.com

Real Sound:アン・ハサウェイ、米批評家から大絶賛! 『オーシャンズ8』が参照したポップカルチャーを解説

 RealSound様にて『オーシャンズ8』コラムを執筆しました。アン・ハサウェイが絶賛された理由は、かつて「アメリカ一嫌われていた女優」だったハサウェイが当時のパブリック・イメージを演じてるような面があること。また、キャラ設定や衣装にポップカルチャーおよび演者自身のリファレンスがあるなどのセレブ豆知識も。

 構成上漏れた情報郡:劇中ハサウェイ演じるダフネ・クルーガーはメット・ガラにフレンチネイルで行きます。このフレンチ・ネイルはレッドカーペットでは「重すぎ」と批判されがちなもの。どうも、ハサウェイ自身が「ダフネはこういうものに美を感じる」と言って提案したものだとか。「いちいち反感買いそう」な役作り・役解釈が巧みですね。メット・ガラのドレスについては、サンドラ・ブロックが着用した「オーシャン」柄は役名のみならず「門出」も象徴するもの。ヘレナ・ボナム=カーターが着用したドルチェ&ガッバーナは役名と同じ薔薇の柄。

FUZE:マリファナ・セックス・暴力ーー3つのタブーのアイコンとして常に批判され続けてきたリアーナは何故21世紀を代表するポップスターになったのか?

 FUZE様にて、リアーナのポップカルチャーにおける重要性を考察する記事を書きました。大麻・セックス・暴力としてのアイコンの彼女を軸にし、彼女が行ってきた「賛否両論のステレオタイプ破壊表現」を紹介。後日、補足などを(このブログ記事に)追記予定です。

CINRA.NET:若者の憂鬱と「死にたい」を表現するドラマや音楽。米社会の闇を探る

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『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』70s英雄譚と英雄の距離

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 1970年代初頭のアメリカといえばフェミニズム旋風である。ウーマンリブ運動の加熱。71年にヘレン・レディが『I Am Woman』をリリース。72年に雇用機会均等法が大幅に改正され、グロリア・スタイネムが雑誌『Ms.』を刊行。そして73年に「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」が推定9,000万の視聴者を集めた。本作の主人公ビリー・ジーン・キングが男性選手との試合に至った要因には全米テニス協会の賃金格差があった。当時、男性選手の優勝賞金は女性の8倍だった。無論、チケット売上の男女差は8倍ではない。男女同権を志向するビリーは女子テニス協会の前進となる女子ツアーを始めた。スポーツ界のみならず実社会にも根付く格差にアクションを起こしたビリーは、まさに70年代の英雄なのである。

【以下ネタバレ】

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『GLOW』勇気をくれる人種差別プロレス

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 実在女子プロレス団体をモデルにしたコメディ『GLOW』は、リスキーな選択をとった。80年代に活躍した現実のGLOWは、今見るとかなり人種差別的なステージを放映していたのである。では、そんな問題あるショーをどのように“魅力的”に描くのだろう?

【※ネタバレを含みます】

有色人種は「悪役」な80s人種差別ショー 

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HIPHOPのメンタルヘルス観の変容/「男らしさ」から「脆弱性」へ

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 HIPHOPメンタルヘルスの関係性。2010年代後半にブームとなったエモRAPについてはCINRA.NET寄稿コラムでフォーカスした。本稿では「エモRAP」以前、主に1990年代から2010年代を追う。アメリカのHIPHOPは現実のブラック・コミュニティを反映する。心理療法を遠ざける要因となる「強さ」主義が問題視されてきたHIPHOP。しかし、近年は変化を見せている。

90s-00s:「強さ」主義と「音楽がセラピー」神話

死んだら地獄に行きたい 俺はどうしようもなくクソ野郎だから

- The Notorious B.I.G. "Suicidal Thoughts"

  2010年代中盤、アメリカで自死や憂鬱を語るRAPが増えた……と言っても、もともとメンタル・イルネスはHIPHOPで描かれてきたモチーフだ。1990年代には、ノトーリアスBIGを筆頭にゲットーボーイズや2Pac希死念慮を表現している。しかしながら、著名ラッパーたちのメンタルヘルス観は変容しつづけている。

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『13の理由S2』リアリズムからスピリチュアリズムへ?

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 寄稿『若者の憂鬱と「死にたい」を表現するドラマや音楽。米社会の闇を探る - コラム : CINRA.NET』でフォーカスしたNetflixドラマ『13の理由』。高校生の視点をリアルに描きヒットした本作だが、S2ではリアリズム演出を破壊する挑戦に出ている。幽霊が出現し、スピリチュアリズムにまで着地するのだ。それでも、本作は「アメリカの10代のリアル」を描きつづける。

告発と反響

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政治ソングでアメリカ1位は難しい:ガンビーノの銃乱射とガガの同性婚

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 CINRA.NET『“This Is America”に揺れる現代と、リオン・ブリッジズの物語』でフィーチャーしたチャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』。寄稿コラムにおいては、様々な考察を呼んだ社会的作品であることを紹介した。こちらの記事では「アメリカで政治ソングが1位を獲得することは稀なこと」、だからこそ「10年代USで首位に輝いた2つの政治ソングはその内容とタイミングが的確だったこと」を伝えたい。

  • 『This Is America』のような時事ネタはヒットしやすいのか?
  • 10年代US1位の政治ソングはたった2曲:HIPHOPヒットも政治性は薄い
  • US1位ヒット政治曲のタイミング:同性婚合法化と銃乱射事件
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『This Is America』のような時事ネタはヒットしやすいのか?

  2018年5月、チャイルディッシュ・ガンビーノ『This Is America』がHOT100首位デビューを飾った。本作は大きな話題を呼び、とくにハイコンテキストなMVはリリースされるやいなやネットやメディアで数多の考察が巻き起こった。その注目度を立証するように、初週ストリーミングの68%がMV視聴となっている*1。それまでのガンビーノのチャート最高記録は12位。彼にとっても大きな飛躍だったことがわかる。そこで見かけたある意見:「ガンビーノはヒットしやすい時事ネタで1位を獲った」。確かに、本作はネットで考察を巻き起こしやすい多層構造だ。アメリカの現状を批判する内容であることは歌詞を聴いただけでわかる。リアルタイムな社会ネタは大手メディアにも報道されやすいだろう。しかしながら「政治ネタをやればヒットしやすい」旨には反論を唱えたい。アメリカのHOT100においては、むしろ政治性が無いほうが高順位を狙いやすいのが通説だからだ。

10年代US1位の政治ソングはたった2曲:HIPHOPヒットも政治性は薄い

歴史的に、シリアスな社会問題を描く政治ソングがチャート1位を取ることは非常に稀です

- What Was The Last Political Song To Hit No. 1 Before Childish Gambino's 'This Is America'?

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ケンドリック・ラマー『DAMN.』ピュリッツァー賞の意義/芸術と認められたHIPHOP

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 CINRA.NET様に寄稿させていただいたリオン・ブリッジズ記事で触れた、2018年USブラックカルチャーの躍進と波乱。その中で大きく報じられたケンドリック・ラマー『DAMN.』のピュリッツァー賞受賞は、どのような意義があったのか?

 2018年ピュリッツァー賞音楽部門の選考委員レジーナ・カーターのインタビューがThe Atlanticに掲載されている。カーターはクラシック音楽を学んだのちJazzに移行した世界的ヴァイオリニストだ。インタビューでは、ピュリッツァーの審査過程、『DAMN.』製作に多くの人々が関わっている問題、カーター自身のケンドリック評などが語られている。記事のラスト、彼女はピュリッツァー賞についてこのように語っている。

ピュリッツァー賞の授与は、その対象がアメリカのアートフォームの一部だと呈することを意味します 

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