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辰巳JUNKエリア

ニワカを極めるブログ

ドキュメンタリー『くすぐり』の皮肉な後日談

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 Netflix配信中の話題のドキュメンタリー『くすぐり』は、まさに劇映画のようだ。「変人」をネタする記者が、ある日「くすぐり競技大会」のサイトを発見する。そこで取材を申し込んだら、返ってきたのは拒否と罵倒。競技大会の管理人は「ホモ野郎なんかとつるまない」と差別語を浴びせてきた。……この「くすぐり競技」自体がゲイポルノ的なのに!? ますます興味を引かれた記者が取材を続行すると、管理人は裁判を起こしてきた。どうやらあちらは富裕層のようだ……こうして、主人公である記者は、国際的な違法ビジネスの“巨悪”と立ち向かう入り口に立った。

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『パッセンジャー』の改変されたオリジナル版ラスト / 強姦神話としての眠り姫からアダムとイヴへ

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 映画『パッセンジャー』のラストは大きな論争を呼んだ。実は、この作品の脚本は多くのアカデミー作品賞&候補作を輩出したブラック・リストに入っていた。そして、その栄誉あるオリジナル脚本のエンディングは公開されたリリース版と大きく異なっていた。本稿ではオリジナル版エンドの概要を紹介し、個人的な考えを付け加える。

【目次】

  • 1.『パッセンジャー』のオリジナル版エンド
  • 2. リリース版:強姦王子と眠り姫
  • 3.オリジナル版:アダムとイヴとノアの方舟
  • 参考資料

1.『パッセンジャー』のオリジナル版エンド

 リリース版とオリジナル脚本の内容は8割方同じと言われている。大きく異るのはラスト、ガスが死んでからの展開。Slash Filmで紹介されたおおまかなオリジナル版プロット概要を紹介する。

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村上春樹が語る国際人気の理由 / 真実が死んだ世界の『騎士団長殺し』

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 村上春樹がみずから語った「自作の国際人気の理由」を紹介する。彼は、国々の社会情勢がムラカミ作品の需要を作ったと語っている。又、インタビューから8年経った2017年に出版された『騎士団長殺し』がいかに国際社会、および人々の精神とつながっているかの所感も加えた。

【目次】

  • 1.村上春樹が自ら語る国際人気の理由 
  • 2.『騎士団長殺し』が伝える真実が死んだ現代の生き方 
  •  参考資料

1.村上春樹が自ら語る国際人気の理由 

  村上春樹はなぜ国際的な人気があるのか? この問いについては様々な解答が存在すると思うが、実は村上春樹自身が見解を語ったことがある。2009年に刊行された『モンキービジネス』の誌上インタビューにおいて海外人気について触れているのだ。 

 村上春樹の見解では、村上作品の世界人気は国際社会情勢に要因がある。彼が海外で広く受け入れ始めたのは冷戦が完全に終結してから。既存の体制が崩壊し、世界の秩序は大きく揺らぎ、様々な要素が対立しだした。そんな不確実でカオスな世情に村上作品が呼応した。箇条書きのまとめを後述するがーー「リアリティの喪失」も大きなキーワードとなっている。日本や独露のみならず、アメリカの人々も「自分がいる世界」への「リアリティ」を失いつつある。この感覚は、村上春樹が多く描いてきたもののように思う。例えば、最新作『騎士団長殺し』の以下の台詞に象徴されるように。

我々の人生においては、現実と非現実との境目がうまくつかめなくなってしまうことが往々にしてある、ということです。その境目はどうやら常に行ったり来たりしているように見えます。

 引用元:村上春樹騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編』 p.305   

 以下、村上春樹が語った国際社会情勢と彼の人気にまつわる意見を端的にまとめた。 

 【村上春樹が語る国際人気の理由】

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2017年メディア執筆記事一覧

 

GINZA No.237 恋する2月号

magazineworld.jp

 『GINZA No.237 恋する2月号』様にてセレブ・カップルについて寄稿させていただきました。Amazonやhontoなど、電子版も上記サイトより販売中です。

【おしながき】・カイリージェンナーと恋の錬金術師タイガ・JLoとドレイクとディディの因縁・オーランドの魔法にかかったケイティペリー・世界一セクシーなライアンレイノルズ夫妻・恋と仕事に活かせるマライアキャリーの強さ

GINZA (ギンザ) 2017年 3月号 [ロマンスに気をつけろ] [雑誌]
 

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『この世に私の居場所なんてない』 世界からくだらないと扱われる私の大切なもの

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サンダンス映画祭審 査員対象受賞作 Netflix独占配信

 その日の主人公は嫌なことだらけだった。看護助手をしている治療施設で、患者の老婆が抗議運動をする黒人のニュースを見てこう言った。「あいつらがアメリカを蝕んでる、あいつらのデカいチンコは絶対に私のマンコには挿れさせないよ」。そして老婆は死んだ。遺族には最後になにか言っていたか訊かれた。主人公は何も答えなかった。仕事帰りにバーで読書していたら他の客にネタバレをされた。家に帰ったら庭に犬のフンがあった。「犬のフン禁止」と標識を出しているのに。そして家に入ったら泥棒が入っていた。警察を呼ぶも、盗られたものはPCと亡き祖母の銀食器だけ。警察が扱う事件としては小さな被害だった為、捜査が丹念に扱われる気配は無かった。刑事は主人公に対して戸締まりはちゃんとしていたか確認してきた。警察の職務としては当然かもしれないが、主人公には不満が残る。つらい想いをした主人公は友人に家に出向く。そして友人の幼い娘に絵本を読んでいる時、泥棒の話をしてしまい、女児の前で泣いてしまう。友人は優しかったが、こう諭してきた。「あなたより不幸な人は沢山いる」。確かにそれは事実だろう。事件を担当した刑事も同様のことを言ってきた。でも、主人公にとって、おばあちゃんの銀食器は大切なものだったのだ。

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グラミー賞主要部門の投票システム:音楽ジャンル別の格差疑惑

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 グラミー賞の「人種差別」疑惑への批判は、ここ3年の最優秀賞アルバム部門の話題を中心に熱を帯びた。アワードの幹部や会員に差別バイアスがあるかはわからない。しかしながら、主要4部門の投票システムにおいて「音楽ジャンル」別に格差がある可能性がある。

【目次】

  • 1.物議をかもした3年間の最優秀アルバム部門
  • 2.ジャンル別に格差ある投票システム 
  • 3.投票システムからのバイアス考察と改善案
  • 補足:不透明な審査委員会の不正疑惑
  • おわりに
  • 参考資料  

1.物議をかもした3年間の最優秀アルバム部門

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トランプ派も賞賛したレディー・ガガのアンチ分裂ハーフタイムショー

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 第51回スーパーボウルで行われたレディー・ガガのハーフタイムショーが話題だ。民主党派のみならず、共和党議員やトランプ支持者まで政治的観点から賞賛している。もしかしたら、ガガが願ったのは「アンチ・トランプ」ではなく「アンチ党派分裂」だったのかもしれない。

【目次】
  1. 民主党派にも共和党派にも好評
  2. 保守派:政治性無し
  3. リベラル派:隠れた政治性
  4. レディー・ガガ:アンチ党派分裂
  5. 私見:彼女の芸術

1.民主党派にも共和党派にも好評

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