2020年 AWA 音楽プレイリスト集

オフィシャル・ユーザーを務めることになった音楽ストリーミングサービスAWAにて製作したプレイリスト集を掲載。

 ビリー・アイリッシュのフェイバリット・ソング

 構成はざっくり[ポップ〜R&B/ラップ〜ロック/オルタナティブ〜クラシック]。 ‪2001年生まれZ世代、ビリー・アイリッシュのフェイバリット・ソングスは、「ジャンル・フルイド」と評される彼女の作品群とおなじく、境界をものともしない多様さを誇る。ビリーが活躍する基盤を創造したとされるラナ・デル・レイ、ロウティーン時代からのカリスマ的存在タイラー・ザ・クリエイター、そして今では相思相愛と言えるグリーン・デイ……60曲に及ぶ個性豊かな楽曲群からは、たしかにビリー・アイリッシュの存在を感じられるはずだ。‬

BTSとコラボした洋楽アーティストたち 

 ‪BTSとコラボした西洋アーティスト/プロデューサーの作品群を聴いてみよう。エド・シーランやシーアらトップスターはもちろん、メンバーと同世代のホールジーにトロイ・シヴァン、ポップ界のフィクサーCharli XCX、ロック&ラップ・シーンから熱視線を送られるMura Masa……未来を担う彼らは、あなたに新たな扉を開いてくれるはずだ。BTSがそうしてきたように。 ※楽曲/サンプル提供者もふくめて"コラボ曲→当該アクト曲"の順で構成

ジブリ音楽をサンプリングしたトラック 

 世界的な人気を誇るスタジオ・ジブリ久石譲が手がける音楽もその例外ではなく、世界各国のアーティストがそのサウンドをサンプリングしている。オーストリアのNohidea、デンマークのKarl William、フランスのLa CautionやS-Crewなど、グローバルな面々によるジブリ・サンプリングを原曲とともに楽しもう。ラストに位置する石井竜也「君をつれて」は、『天空の城ラピュタ』公式コラボレーションとして、本編から16年後のパズーの視点から執筆された楽曲。

2000s US Biggest Hits

 豪華絢爛な2000年代アメリカの最大のヒット・ソングTOP20。アッシャーを筆頭にR&Bとヒップホップが多くを占めるディケイド。例外とされるアクトはニッケルバックやワン・リパブリックだが、後者にしてもティンバランドとのコラボレーションである。客演を迎えた楽曲はデュエットが流行した1980年代超え。2010年代につづくスターたちのクロスオーバー文化が花開いた年代と言えよう。ブラック・アイド・ピーズアウトキャストなど、バラード・ブームの1990年代よりもアップテンポでスピーディな踊れるトラックが支持された側面も指摘されている。ちなみに、チャート・トップにてR&Bとヒップホップを邂逅させたBillboard女王マライア・キャリーは1990年代と2000年代通してディケイド最大のヒット・ソングを輩出した。 ※2014年Billboard発表参照 

リアーナが歌ったかもしれないヒット・ソング

 あまたのナンバーワン・ヒットを持つリアーナ。膨大なオファーを受ける立場ゆえに、彼女が歌うことを断った楽曲、また彼女への提供が計画されていたものの他のアーティストに回ったトラックが大ヒットしたパターンも数多い。アリアナ・グランデジャスティン・ビーバーなどのポップスター、エド・シーランやシーアといった大物SSWはもちろん、人気ラッパーから伝説的ロックスターまで「リアーナが歌ったかもしれないヒット・ソング」をHOT100ランク順に紹介。ラストを飾るTame Impala“New Person, Same Old Mistakes”は、リアーナのボーカルを想定して作られたものの、2015年バンド名義でリリースされたトラック。翌年、アルバム『ANTI』にてリアーナ当人にサプライズ・カバーされる運命をたどった。 ※Billboard HOT100圏内はシーア"Bird Set Free"迄

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【王道の新時代】 2020年スーパーボウル・ハーフタイムショー:シャキーラ&ジェニファー・ロペス

ボロボロだったハーフタイムショー

 毎年のようにアメリカの歴代最大級レーティングを叩き出すNFLスーパーボウルですが、ミュージシャンが出演するハーフタイムショーに限ってはこの2年混迷を極めてきました。《参考》 政治的緊張のもととなったのは、大統領すらも言及した、コリン・キャパニック選手にまつわるNFLの人種問題。2019年には、NFLより出演を求められたスターが次々と拒否しつづけたことで、20番目の候補とされるMaroon5に決定した結果、前年ジャスティン・ティンバーレイクに引き続き不評に終わっています(彼らの場合、ソリストのスーパースターがド派手に魅せまくった2010年代の同ショーの色や規模に合わなかったことが最大の要因に思えますが)。こうした政治的緊張によるグダグダを上の記事で紹介したわけですが、このあとプロット・ツイストが起きまして、2018年の出演オファーを断ったヒップホップおよびブラック・コミュニティの長ジェイ・ZのRoc NationがNFLと提携発表。こうして、第54回目となる2020年度は同レーベルのシャキーラ、そしてリバイバル旋風真っ只中のジェニファー・ロペスという二大DIVAヘッドライナーに決定。住民の7割がラティーナとされるマイアミ会場にふさわしき超豪華な「王道」ハーフタイムショー復活とあいなりました。 

スーパーウーマン新時代

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Eminem『Darkness』 撃ったのは誰なのか

ラスベガスで嫌悪感 訳がわからない迷走状態

でも賭けをしよう 明日の新聞に載ることを賭けるぜ

 11thアルバム『Music To Be Murdered By』からのリード・シングル『Darkness』。2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件をモチーフにして銃規制を訴えたことが話題になりましたが、リリック構成も面白くなっています。上記の公式画像における日本語字幕を見ていけばわかるんですが、この曲、語り手がエミネムなのか銃乱射事件の犯人なのか境界が曖昧なんですよね。「今夜のコンサートは新聞に載る」宣言や、父親に愛されなかった生育歴、憂鬱に薬、銃撃表現など、ベガス公演を前にしたエミネムの言葉だと捉えても意味が通る。しかし途中からあからさまに実際の事件を扱っていることが判明していき、「いつものエミネム」と思って聴き始めたリスナーが途中で「自分が共感していたのは銃乱射事件の犯人」だったと気づくショッキングな構成になっているわけです。

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『アナと雪の女王2』 前線に来る無能力キャラ問題

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今できる正しいことをする 一歩ずつ繰り返して それが今の私にできる正しいことなのだから ("Next Right Thing")

 関心した点。今回のアナは、フィクションでウザい定型とされる「異能力が無いのに前線に来ようとするキャラ」枠なのだが、劇中エルサと共感性豊かなコミュニケーションを交わして互いに不安や気遣ってる旨を表明しあうため「戦闘力的に邪魔」な印象が無く(むしろ必要不可欠)、知と勇気で必要な活躍を魅せる。フィクション定型とされる「バトル能力が無いのに前線に来ようとするキャラ」のウザさ/邪魔感は、そもそも作中フォーマットが「物理的戦闘力」主義的だからこそ邪魔に見えがちなのかもしれない、その価値観から離れた描き方をすれば、高揚ある必然的な活躍が可能……そんな学びがある作劇でした。

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『パラサイト』種明かし&考察集

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映画『パラサイト 半地下の家族』、ポン・ジュノ監督が明かす種明かし、および筆者とオンラインの考察をリストアップ。走り書きな上、韓国語ソースはredditに投稿された英訳を参照しているため、信頼度は低いです。
※ 監督側よりネタバレ禁止令が轢かれている作品のため、上映期間中はSNS等での(ネタバレにあたる)本文引用はお控え下さい
※ 鑑賞前の予習としてはkonestさんの解説記事がおすすめです

参考資料: GQインタビュー監督トークショーレポNYT評, reddit, reddit2

 

【※以下ネタバレ】

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2019年メディア寄稿集 Part2

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2019年のメディア寄稿リストPart2です。

各媒体プロフィールページ

CINRA.NETCosmopolitan JapanELLE Japan, Real Sound, 文春オンライン

 

翌年度メディア寄稿集

 

 ○○すぎる!! 年末年始にイッキ見したい2019年過激ドラマ10 (ELLE JAPAN)

2019年USUKドラマの話題作を紹介しました!「○○すぎる」をテーマに、禁断ロマンス『フリーバック』や超ロイヤル『ザ・クラウン』、炎上事件『GoT』、過激ヒーロー『ザ・ボーイズ』など10作品! 基本的に配信サービスで観られるリストなので、新年に是非

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映画『ジーザス・イズ・キング』 IMAXゴスペル礼拝体験

これは俺に関するフィルムじゃない。礼拝の映画──ユニバーサルなものだ - カニエ・ウェスト

同名アルバムにあわせた40分程度のIMAXムービー。カニエ・ファンはもちろん、新しいかたちの「劇場体験」を求める人にもオススメしたいのですが、個人的に最も観てもらいたい相手はキリスト教礼拝に通っていた経験を持つ人かもしれません。とにかく超スピリチュアリティな「ゴスペル礼拝」没入体験です。

・新たなる劇場体験

巨大画面も音響も壮大なIMAX。本国運営に「ハリウッド大作を見る場」イメージから脱したい意向もあるそうで、ニック・ナイト監督いわく『Jesus Is King』は体験、信仰、エモーションにまつわるアートフィルム。何者かの目から見たような限定された画面や豊穣に重なる音響まで、すべてが最新鋭IMAXシアターにおける「ゴスペル礼拝」に集結する凄まじさは圧巻でございます。これだけで今までにない劇場映画体験なのですが、もの凄いところはフィーリングに激振りなところ。礼拝と言っても、祈祷も説教もない「ただ音楽、ただフィーリング by.キム・カーダシアン」なサンデーサービス式なわけです(参照)。そのため、個人的には下調べも要らない「ただ感じろ」映画。

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