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辰巳JUNKエリア

ニワカを極めるブログ

将来のことを考える為の物質・セロトニン

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1.何故自殺する人は非合理的選択である死を選ぶの?

 ブラック労働による自死。悲しいことに他ならないわけですが…。その報道の際に対し、このような声が散見される。「生きる為に金を稼いでいるんだから死ぬぐらいなら会社を辞めた方が合理的だ」。つまりは「他にもっと良い選択肢があるのに何故、死を選ぶんだ?」という、自殺者の選択行動への疑問が挙がるわけです。「バカなんじゃないの?」って罵詈雑言も珍しくはない。

 しかしながら(自死を選ぶ人々の多くがかかっていたであろう)鬱病は、ヒトから長期的視点を奪い「目先のことしか考えられなくする病気」なのではないかという情報が神経経済学方面に。

2.長期的視野を脳に与えるセロトニン

 問題は必須アミノ酸から生産される神経伝達物質セロトニン動物実験では、セロトニンを劇的に減らすと目先のことしか見えなくなってしまう結果が得られている。以下引用。

セロトニンを脳の中で作れなくしてしまったラットを使って、「異時点間の選択問題」、つまりすぐにもらえる小さい報酬がいいのか、時間がかかる大きい報酬がいいのかという選択問題をさせると、そのラットは、遅れてもらえる大きい報酬よりも、すぐにもらえる小さい報酬を不自然なくらい頻繁に選択するという行動が見られました  -脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)

   セロトニンが足りていないと、少し待てば多量の報酬を貰えることを知っているにも関わらず、目先にある少量の報酬に飛びついてしまう。これは「衝動的選択」と呼ばれる。で、鬱病になると、このセロトニン含む脳内神経伝達物質の動きが鈍化するらしい。ということは、人々から不思議がられる「ブラック労働での自死」もこの「衝動的選択」なんじゃないか。

3.セロトニン減少による衝動的選択サイクル

私達は、健康な状態、普通の状態では、いろんな割引率での行動を選択しとして持てるのですが、たとえばセロトニンの量が劇的に、病的に減ってしまったときは、ひょっとすると行動の選択肢が減ってしまう可能性があるわけです。そうすると行動自体が偏ってしまうのではないかということが、実験結果からわかりました。  -脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)

  会社に行かなければブラック労働は免れるのに「この仕事が出来ない自分が悪い/この仕事をやらなければいけない」という方面に向かって自分を責め、死を選んでしまう。この思考回路は「鬱病によってセロトニンが減少し目先のことしか考えられない衝動的選択傾向の状態に陥った為」で説明がつく。上記のラット実験のように例えるとこう。

「辛い労働からの解放」の解決法

A.今死んでしまう(すぐに貰える小さな報酬)

B.サボタージュ&退社手続き(遅れて貰える大きな報酬)

  →セロトニンが足りていない者は、目先のAを衝動的に選択してしまう

 ブラック労働で自殺してしまう人は、別に頭が悪いわけではない。自死という選択は病状の悪化によるもの。こう書くと、鬱病って抽象的でも精神論でもなんでもなく、癌や風邪と変わらない普通の病気なわけです。なので、精神疾患による自死に対し、患者の人格や知性をあーだーこーだ言うのは見当外れなんじゃないか。「癌で苦しんでるお前は頭が悪い」とは言わないでしょう。また、苦しんでる張本人が「こんなに傷ついてるのは自分が馬鹿で弱いからだ」なんて自責することも個人的にオススメしません。それこそ衝動的選択だろ思うし、なにより辛いので…。

4.セロトニン概要

 セロトニンについて。セロトニンの原料となるトリプトファン必須アミノ酸なので、体外から摂取しなければいけない。主に多くのタンパク質から摂れる。「鬱病にはバナナがいい」って言われるのはここからかな。うつ病の人に処方される薬には、セロトニンを活性化させる機能もあるんでしょう。ちなみに、セロトニン値が正常な人が更に摂取しても、特に行動面での変化は起きないらしい。あくまでも足りてない人にとってプラス作用のある物質。頭良くなる魔法のアミノ!ってわけではない。

参考文献(掲載画像もこちらから引用)