【王道の新時代】 2020年スーパーボウル・ハーフタイムショー:シャキーラ&ジェニファー・ロペス
ボロボロだったハーフタイムショー
スーパーウーマン新時代
続きを読むEminem『Darkness』 撃ったのは誰なのか
ラスベガスで嫌悪感 訳がわからない迷走状態
でも賭けをしよう 明日の新聞に載ることを賭けるぜ
11thアルバム『Music To Be Murdered By』からのリード・シングル『Darkness』。2017年ラスベガス・ストリップ銃乱射事件をモチーフにして銃規制を訴えたことが話題になりましたが、リリック構成も面白くなっています。上記の公式画像における日本語字幕を見ていけばわかるんですが、この曲、語り手がエミネムなのか銃乱射事件の犯人なのか境界が曖昧なんですよね。「今夜のコンサートは新聞に載る」宣言や、父親に愛されなかった生育歴、憂鬱に薬、銃撃表現など、ベガス公演を前にしたエミネムの言葉だと捉えても意味が通る。しかし途中からあからさまに実際の事件を扱っていることが判明していき、「いつものエミネム」と思って聴き始めたリスナーが途中で「自分が共感していたのは銃乱射事件の犯人」だったと気づくショッキングな構成になっているわけです。
続きを読む『アナと雪の女王2』 前線に来る無能力キャラ問題
今できる正しいことをする 一歩ずつ繰り返して それが今の私にできる正しいことなのだから ("Next Right Thing")
関心した点。今回のアナは、フィクションでウザい定型とされる「異能力が無いのに前線に来ようとするキャラ」枠なのだが、劇中エルサと共感性豊かなコミュニケーションを交わして互いに不安や気遣ってる旨を表明しあうため「戦闘力的に邪魔」な印象が無く(むしろ必要不可欠)、知と勇気で必要な活躍を魅せる。フィクション定型とされる「バトル能力が無いのに前線に来ようとするキャラ」のウザさ/邪魔感は、そもそも作中フォーマットが「物理的戦闘力」主義的だからこそ邪魔に見えがちなのかもしれない、その価値観から離れた描き方をすれば、高揚ある必然的な活躍が可能……そんな学びがある作劇でした。
続きを読む『パラサイト』種明かし&考察集
映画『パラサイト 半地下の家族』、ポン・ジュノ監督が明かす種明かし、および筆者とオンラインの考察をリストアップ。走り書きな上、韓国語ソースはredditに投稿された英訳を参照しているため、信頼度は低いです。
※ 監督側よりネタバレ禁止令が轢かれている作品のため、上映期間中はSNS等での(ネタバレにあたる)本文引用はお控え下さい
※ 鑑賞前の予習としてはkonestさんの解説記事がおすすめです
参考資料: GQインタビュー, 監督トークショーレポ, NYT評, reddit, reddit2
【※以下ネタバレ】
続きを読む2019年メディア寄稿集 Part2
2019年のメディア寄稿リストPart2です。
各媒体プロフィールページ
CINRA.NET, Cosmopolitan Japan, ELLE Japan, Real Sound, 文春オンライン
翌年度メディア寄稿集
○○すぎる!! 年末年始にイッキ見したい2019年過激ドラマ10 (ELLE JAPAN)
2019年USUKドラマの話題作を紹介しました!「○○すぎる」をテーマに、禁断ロマンス『フリーバック』や超ロイヤル『ザ・クラウン』、炎上事件『GoT』、過激ヒーロー『ザ・ボーイズ』など10作品! 基本的に配信サービスで観られるリストなので、新年に是非
続きを読む映画『ジーザス・イズ・キング』 IMAXゴスペル礼拝体験
これは俺に関するフィルムじゃない。礼拝の映画──ユニバーサルなものだ - カニエ・ウェスト
同名アルバムにあわせた40分程度のIMAXムービー。カニエ・ファンはもちろん、新しいかたちの「劇場体験」を求める人にもオススメしたいのですが、個人的に最も観てもらいたい相手はキリスト教礼拝に通っていた経験を持つ人かもしれません。とにかく超スピリチュアリティな「ゴスペル礼拝」没入体験です。
・新たなる劇場体験
巨大画面も音響も壮大なIMAX。本国運営に「ハリウッド大作を見る場」イメージから脱したい意向もあるそうで、ニック・ナイト監督いわく『Jesus Is King』は体験、信仰、エモーションにまつわるアートフィルム。何者かの目から見たような限定された画面や豊穣に重なる音響まで、すべてが最新鋭IMAXシアターにおける「ゴスペル礼拝」に集結する凄まじさは圧巻でございます。これだけで今までにない劇場映画体験なのですが、もの凄いところはフィーリングに激振りなところ。礼拝と言っても、祈祷も説教もない「ただ音楽、ただフィーリング by.キム・カーダシアン」なサンデーサービス式なわけです(参照)。そのため、個人的には下調べも要らない「ただ感じろ」映画。
続きを読む自殺者を急増させた『13の理由』、シーン差し替えへ
2019年7月、Netflixの人気ティーンドラマ『13の理由』がシーズン1の自死シーンのカット差し替えを発表した。筆者が確認したところ、ほぼカットに近い。浴槽で手首を切った少女が苦しみながら死んでいく様を丹念に描いた該当シーンとその物議については『ネットフリックス大解剖 Beyond Netflix』で触れたが、該当エピソードが配信されたのは2017年春。つまり、2年前に批判されていた表現を今になって規制したかたちになる(当時Netflixは冒頭に警告映像を流す対処に出ていた)。なぜ今ごろ、ヒット作の内容を組み替える措置に出たのだろうか? おそらくは、批判が実現してしまったからだ。
2019年4月末にリリースされた国立メンタルヘルス研究所等の調査結果によると、『13の理由』シーズン1配信後の9ヶ月間は10〜17歳アメリカ人が自殺が29.8%増加していた。自殺率の急上昇と作品の因果関係は明確にできないものの、リリース直後に著しい増加が見られている。同シーズンが配信された際、心理学者等のプロフェッショナルが警告したことは、フィクションの自死描写によって起こる自殺の伝染だった。この「ウェルテル効果」はとくに若年層が影響を受けやすいとされることから、子供たちのあいだでブームになった『13の理由』はトリガーになりうると警告されていたのだ。
2018年時点では、Netflix CEOリード・ヘイスティングは強気の態度をとっていた。 「(シーズン更新は物議をかもすのではないかとする質問に対して)『13の理由』は議論を呼ぶ作品です。しかしながら、誰にも視聴は強制していません。我々はオンデマンド・サービスなのですから」 Varietyに言わせれば、「嫌なら見るな」とする姿勢である。翌年4月、前出の自殺率急上昇レポートが公開。3ヶ月後、Netflixはそれまでの姿勢を変えてシーンを差し替えた。
『13の理由』自死シーン差し替えの理由は、単に批判を集めたからではなく、その批判どおり10代の自殺者が急増したことだと推測できる。調査を率いたジェフリー・ブリッジ医師は、AFPにて表現の問題性を指摘。「今回の調査結果で、同シリーズがメディアでの自殺描写をめぐるガイドラインを無視しているという懸念が確認された」。Sucked Awareness Voices of Educationのダン・ライデンバーグは、Washington Postに以下のように語っている。 「若者はフィクションと現実を切り離すことに長けてるとは言えません。精神的に苦しんでいる時はさらに難しくなります」。一方、青少年自殺研究コンソーシアムのレジーナ・ミランダは、Voxにて『13の理由』問題表現にまつわる報道合戦が自殺率急増の要因である可能性を指摘している。フィクションが現実にもたらす影響については日々語られているが、Netflix『13の理由』のケースは論議をさらに深刻化させるかもしれない。