トランプ派も賞賛したレディー・ガガのアンチ分裂ハーフタイムショー

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 第51回スーパーボウルで行われたレディー・ガガのハーフタイムショーが話題だ。民主党派のみならず、共和党議員やトランプ支持者まで政治的観点から賞賛している。もしかしたら、ガガが願ったのは「アンチ・トランプ」ではなく「アンチ党派分裂」だったのかもしれない。

【目次】
  1. 民主党派にも共和党派にも好評
  2. 保守派:政治性無し
  3. リベラル派:隠れた政治性
  4. レディー・ガガ:アンチ党派分裂
  5. 私見:彼女の芸術

1.民主党派にも共和党派にも好評

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母なる証明 破壊される母の偶像

 映画『母なる証明』は現実社会が抱く“母親偶像”を壊そうとする。しかしながら、映画の中では“母親”の持つ息子偶像が変容してゆく。 いわば現実と作中、合わせて2つの「母の偶像」に亀裂が入るのである。

【目次】
  1. 破壊される「社会」の「母親」偶像
  2. 崩壊しゆく「母親」の「息子」偶像 

1.破壊される「社会」の「母親」偶像

 『母なる証明』は社会が抱く「母親偶像」を破壊する映画だ。おそらく、韓国ではより一層のインパクトを持つ。主人公である母親を演じる女優は韓国社会で「国民の母」と呼ばれ尊敬されるキム・ヘジャその人だからだ。ヘジャは「韓国ドラマ・ファンで見たことが無い人はいない」と言われるほど多くの母親役を演じてきた。韓国調査会社の『もっとも好きな芸能人ランキング』では首位を獲得している*1。彼女の笑顔が印刷された『まごころをこめたキム・ヘジャ弁当』は韓国のコンビニ弁当の代表格としなっている。まさしくキム・ヘジャは韓国における「国民の母」なのだ。「国民の母」を主演に据えた『母なる証明』は、韓国社会において「母の偶像」みずからが「母の偶像」を破壊するインパクトを持つ。

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*1:リサーチ専門機関韓国ギャロップの調査。2位は「国民の父」と呼ばれる男優チェ・ブラム。ヘジャとブラムは22年間つづいたドラマ『田園日記』で夫婦を演じていた。「国民夫婦」が頂点に立ったかたちとなる '국민부부' 김혜자-최불암, '한국인이 좋아하는 탤런트' 1-2위 :: 네이버 TV연예

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神クソ・スター・アワード2016

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 神クソとは人間讃歌である。「一般的には誰も褒めないネタだが爆笑」……そんなピースフルで最上な賛辞と言えよう。神クソ・スター・アワードとは、社会やマスメディアが決して高尚とはしないスターたちの神クソ言動を仰ぎ、生命の奇跡に感謝する祝祭のようなアワードである。怒涛の2016年、表彰部門は【偉人賞】、【ツイッター・ポエトリー賞】、【LOVE WIN賞】など多岐に渡った。また、今年度は審査を厳格にした為、ワーストも設けた。

【ヒューマニティ賞】マライア・キャリー

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( 愛・地球博 )

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2016年 執筆記事一覧

 今年、メディア媒体で書かせていただいた記事まとめです。

 THE FASHION POST 様にて、2016年を象徴するセレブ・トピック記事に携わらせていただきました。ディカプリオの日常エピソード、ビヨンセとニッキーのレッドロブスターな関係等。同媒体様の2015年度まとめ記事はこちら

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バッドママ / 大ヒットしたニッチな王道コメディ

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 アメリカで大ヒットしたコメディ映画『バッドママ』がNetflixでリリースされた。題名通り「バットな母親」をテーマにしたR指定コメディだが、この作品のヒットには少し特殊な面が存在する。本記事では『バッドママ』の映画産業におけるニッチな商業的成功、そしてその希少さに反しメジャーな作品構成について解説する。

【目次】
  1. ニッチなのに大ヒット
  2. メジャーな映画構成

1.ニッチなのに大ヒット

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『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』レイシストもレイピストもいいやつ

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 女性刑務所を舞台とする『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』は「犯罪者であってもみな人間」ということを描いている。殺人犯もドラッグディーラーも児童誘拐犯もそれぞれ事情を抱える人間である。ここまでは多様性の面で評価を手にするNetflixの看板作品と聞けば予想がつくだろう。本作の突出した点は、いわゆる反差別思想の対極に在るとされる差別者なども「悪人と言い切れない人間」として細かく発信しているところだ。

【目次】
  1. オレンジ・イズ・ニューブラックの差別者たち
  2. 「みんな(大体)いいやつ」の難しさ

1.オレンジ・イズ・ニュー・ブラックの差別者たち

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さよならジャスティン・ビーバー / Instagram削除騒動に感じる問題性

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(「貴方はただのオモチャ」:男性スターを性的玩具とする10代女性ファンダムの極端なパワーと狂気の可視化をテーマの1つとしたNamilia S/S 2017コレクション)

 ジャスティン・ビーバーInstagramを削除した。 一部ファンからのヘイトが手に負えない、と発信した直後だった。彼の元恋人である歌手セレーナ・ゴメスも意見を表明し、インターネットやメディアは大変な盛り上がりを見せた。この熱中は、誹謗中傷に怒ったジャスティンがこれといった有名メディアに擁護されることなく、ただ嘲笑される趣きが強いままに終わった。果たして、それは良かったのだろうか?

【目次】
  1. ジャスティン・ビーバーInstagram削除騒動の概要
  2. 香る芸能人差別
  3. 問題の矛先は
  4. 最後に、究極のフ○ック・ユー

 1.ジャスティン・ビーバーInstagram削除騒動の概要

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